A5判並製 400 ⾴
定価:3200円+税
ISBN:978-4-910904-00-9 C0070
装丁:⽩い⽴体
刊行日:2023年6月10日

芸術のわるさ
コピー、パロディ、キッチュ、悪
成相肇

悪口、からかい、うそ、無礼……
ぼくたちのあの悪巧みは、どうしたんでしょうね?

パロディ裁判、ディスカバー・ジャパン論争、岡本太郎への疑問、
コピーと芸術家のもつれあい、マンガと美術のすれちがい、
石子順造の思想、いわさきちひろの語り方、音声で読み解く絵画、
赤瀬川原平と器用人、「食人」の教え……。

白か黒か、アウトかセーフかの線引きばかりの窮屈な世にあって、
著者は1950年代〜70年代の複製文化の賑わいへと探索に向かう。
雑誌、マンガ、広告、テレビなど複製メディアが花ひらいた1970年代を中心に、
生活の中で生まれた表現を読みとき、
機知と抵抗の技術として今によみがえらせる。

軽妙な口上あり、辞典あり。美術と雑種的な視覚文化を混交させる展覧会を企画してきた学芸員が、〈芸術〉の前後左右をくすぐる複製文化論。

アウトかセーフかの呪縛からの解放のために。
すべての持たざる者たちのために。
10年の仕事からの精選に書き下ろしを加えた、満を持してのデビュー作。
ゆかいな批評の登場!

著者について

成相肇(なりあい・はじめ) 東京国⽴近代美術館主任研究員。美術評論家。
1979年島根県⽣まれ。一橋大学商学部在学中に現代美術作家に出会い、19歳で初めて美術館を訪ねる。⼀橋⼤学⼤学院⾔語社会研究科修了。「石子順造的世界 美術発・マンガ経由・キッチュ行」(第24回倫雅美術奨励賞)、「ディスカバー、ディスカバー・ジャパン 「遠く」へ行きたい」、「パロディ、二重の声 日本の1970年代前後左右」(同)など、美術と雑種的な複製文化を混交させる企画を手がけながら、府中市美術館、東京ステーションギャラリー学芸員を経て2021年より現職。2022-23年、「大竹伸朗展」( 東京国⽴近代美術館)を担当。

目次

不幸なる芸術
ファウルブックは存在しない(解題・不幸なる芸術)

Ⅰ コピー
コピーの何が怖いのか?
ゼログラフィック・ラヴ
ディスカバー、ディスカバー・ジャパン
すべては⽩昼夢のように――中平卓⾺、エンツェンスベルガー、今野勉
植⽥正治にご⽤心――記念写真とは何か

Ⅱ パロディ
「パロディ、⼆重の声」のための⼝上
パロディ辞典(第⼆版)
未確認芸術形式パロディ――ことのあらましと私⾒
オリジナリティと反復の満腹――パロディの時代としての⼀九七〇年代前後左右
⼆重の声を聞け――いわゆるパロディ裁判から
パロディの定義、テクストの権利

Ⅲ キッチュ
「的世界」で考えたこと
⽯⼦順造⼩辞典
匿名の⾁体にさわるには――⽯⼦順造的世界の⼿引き
⽯⼦順造的世界――脈打つ「ぶざまさ」を⾒据えて
⽯⼦順造と千円札裁判
「トリックス・アンド・ヴィジョン展――盗まれた眼」⼀九六⼋年の交点と⻲裂

Ⅳ 悪
⼝上 歌が⽣まれるとき(祈祷師たちのマテリアリズム)
「岡本」と「タロー」は⼿をつなぐか
悪の栄え――漫画と美術の微妙な関係
岡本太郎の《夜明け》と《森の掟》についての覚え書き
リキッド・キッドの超能力――篠原有司男ギュウチャンの⾳声と修辞学
⽬が泳ぐ――いわさきちひろの絵で起こっていること
(有)⾚瀬川原平概要
神農の教え

あとがき

書評情報

藤原辰史(歴史家、京都大学准教授)

  • 「2023年の私の推し本!」
    東京新聞 2023年12月23日、中日新聞 2023年12月24日ほか(共同通信配信)

藤原辰史(歴史家、京都大学准教授)

  • 「2023年下半期読書アンケート」
    図書新聞 2023年12月23日号

武田徹(ジャーナリスト)

  • 北海道新聞 2023年12月23日

河本真理(美術史家、日本女子大学教授)

  • 「2023年回顧」
    週刊読書人 2023年12月22日号

高山羽根子(作家)

  • 「2023年の収穫!」
    週刊読書人 2023年12月15日号

高山羽根子(作家)

  • 「2023年度 私のベスト3」
    本の雑誌 2023年1月号

深井厚志(編集者)

  • 「成相肇インタビュー「美術館は特権的ではないはずだし、”大きい公民館”でもいい」。単著『芸術のわるさ』が示す、新たな芸術・文化論」
    TOKYO ART BEAT 2023年11月13日

諏訪敦(画家、武蔵野美術大学教授)

  • 「強かな手管、いかがわしさへの誘い」
    『芸術新潮』2023年11月号

塚田優(評論家)

椹木野衣(美術評論家・多摩美術大学教授)

  • 「二重性の力 境界にも目向ける」
    朝日新聞  2023年9月23日

川添愛(言語学者・作家)

  • 「思い込み崩す複製の力」
    読売新聞  2023年9月17日

中島水緒(美術批評家)

  • 「「パクリはいけない」とみんな言うけれど。」
    美術手帖 2023年10月号

松井茂(詩人・映像メディア学、情報科学芸術大学院大学教授)

  • 「弾はまだ残っとるがよ——戦後日本美術の仁義を問う」
    週刊読書人 2023年8月25日号

小倉孝誠(近代フランス文学・文化史研究、慶應義塾大学教授)

  • 「革新もたらす逸脱の力」
    山陰中央新報、高知新聞、沖縄タイムス、秋田魁、宮崎日日新聞、琉球新報、下野新聞、長崎新聞、中部経済新聞、日本海新聞、徳島新聞、中国新聞、福井新聞、愛媛新聞、岐阜新聞ほか(共同通信配信)

大竹昭子(作家)

  • 「「わるさ」をもって「正しさ」を疑う」
    新潮 2023年9月号

星野太(美学・表象文化論、東京大学大学院准教授)

  • 「革新もたらす逸脱の力」
    artscape 2023年8月1日号

堀部篤史(誠光社)

  • 「2023年上半期の収穫から」
    週刊読書人 2023年7月28日号

森田睦(読売新聞記者)

  • 「複製文化 美術の視点から論考 芸術のわるさ 成相肇さん」
    読売新聞 2023年9月6日 インタビュー記事

鈴木沓子(ライター・翻訳家)

  • 「「わるさ」から斬る芸術文化批評」
    週刊金曜日 2023年6月9日号

芸術新潮 2023年8月号

  • 「編集部のおすすめ!」

アートコレクターズ 2023年8月号

  • 著者インタビュー

アイデア 2023年10月号

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