[紹介]山の上の本棚さん https://www.instagram.com/p/DRUE3-rCSjc/?img_index=1
人を中心に置かない、植物、動物、菌類などのあらゆる生物や土、鉱物なども含めた視点で、様々な切り口から、生の営み、社会を問い直そうとする文章が収められています。
借り物の思想ではなく、あたらしいところに分け入っていこうとする挑戦的な思索であること、それをいま手渡されて読めることに、喜び(単純にこういっていいかわからないですが)を感じます。
歴史を丹念に掘り起こし、あらたに整理・解釈する技量はもちろんですが、野生の感覚が織り込まれた文章は、文学を読んでいるようにも感じました。
装画に用いられた造形物が、テーマと響き合って、想像を広げます。
ぜひお手に取ってみてください。
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生類の思想 体液をめぐって
藤原辰史
装幀:須山悠里
装画:エレナ・トゥタッチコワ
出発:かたばみ書房
刊行日:2025年10月2日
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[紹介]本屋ルヌガンガさん https://www.instagram.com/lunuganga_books/
『生類の思想 体液をめぐって』根源まで遡って考える、とはこういう事なのかと思う。エコロジー・環境問題・生態系…それはあまりに大きくて捉えどころはないから、あやしげな言説に絡め取られたり、謎の専門家もどきが現れたり、最近では政治利用されたりと、なんとも言葉が上滑りしやすい分野だな、という気がする。
この本は、そんな大きなテーマに対して、例えば微生物や腸内細菌などに関する最新の科学的知見や、石牟礼道子や宮沢賢治の言葉、ナチスの農業政策、さつまいもの歴史などを糸口に、強靭な知性で今の人間のあり方を根源から問い直す…そんな一冊。
通底しているのは、人間を微生物が棲まう「家」として捉え、微生物や細菌を含めた「生類」全体を見つめる視線。「内なる世界」である人間と、「外の世界」である環境の交差点である「体液・食・皮膚」などから思考していく姿勢。そして、世界を数値化して工業的に捉えることを、徹底的に拒絶するような態度。
ちょっと鬼記迫る感じさえある、ドロっとして濃厚な言葉たち。あらためて、藤原辰史さんの文章は、深く人間を揺さぶるエモーショナルさがあるように思う。
痺れました…
[感想]読者からのお便り
すばらしい本でした。これまで著者である藤原辰史さんの本をいくつか読んでおります。これまでのものは、私のような学のない人間ではなかなか歯が立たないところがありましたが、本書は藤原さんの思想がエッセイ調で書かれており、話題も多岐にわたっていますが、通底する問題意識は共通しているので頭に入ってきやすく、まるで文芸エッセイを読んでいるかのようにするすると読むことができました。また、本書をとっかかりに『分解の哲学』や『植物考』へと再度チャレンジしてみようと思い、藤原さんの入門書としては最適であると感じました。また、「環境」という言葉のひとごと感、水俣病へのまなざしについて。「環境問題」とすることによって、どうしても自分とは関係のない出来事として捉えてしまいがちであることを看破する箇所は目から鱗。藤原さんが「環境」を外だけのことではないと語るその語り口は、お人柄のよさも同時に読み取れて、重く受け止めねばならない内容ではありますが、押しつぶされないで済まされる語り口であると感じました。よい本をありがとうございます。
東京都、40代、男性
